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湧き出でた言葉が届く ~「頑張れた」と相談者~

ピースマインド・イープ株式会社提供

本音打ち明けて オンラインカウンセリングの現場から

何げない言葉が相手に届くことがあります。相談メールを寄せてきたある二十六歳の女性に返信をしたところ、次のようなメールが返ってきました。

「カウンセラーさんありがとう。この前のメールの最後に書いてあった一言がとても励みになりました。お返事しなくてはと思うと、なぜか頑張る気持ちでいられました」

カウンセラーは返したメールの最後に、「必ず、お返事くださいね。お待ちしています」と言葉を締めくくっていました。これを書いたカウンセラーは、実は相談者からの返信を受け取るまで、そのように書いた覚えもなく、女性から指摘されて驚かされたと言います。

振り返るとカウンセラーはこころの底から、「まずは必ず相談を送ってほしい」「もう少しどんなふうに困っているのかを知りたい」という思いがあり、それが気づかぬ間に「必ず」と書きつづっていたのではと気づきます。見方を変えると、「必ず」とは少しお仕着せに近いような言葉ですが、カウンセラーがこころから素直にそう感じていたからこそ、相手に伝わった一言になったのだと思います。

逆にメール相談で相手に伝わらない言葉とは、一般化された言葉や、他人からの借り物となった言葉です。例えば、「日はまた昇るから大丈夫」「まずはがんばってみて。応援してますから」とか、「悩んでもいい、人間だから」などです。

一般化されたとは、誰に伝えてもマイナスとならないあいさつ文のような言葉で、極端に言うと当たり障りのない言葉です。また、借り物の言葉は一見するときれいな言葉となりますが、それはカウンセラーが相手と対峙(たいじ)する中から湧(わ)き出てきた言葉ではありません。

メールでも対面でも、大事な思いは相手の身体の中に届くように伝える。それはテクニックや知識、ましてや知恵を巡らせて出てくるような着飾った言葉ではありません。相手と向き会う中で、一人の人間としてこころの底から自然に湧き出てくる、何げない一言なのだと思います。

事例は、普段の相談活動をアレンジしたものです。

執筆者プロフィール
渋谷 英雄(しぶたに ひでお)
臨床心理士。日本オンラインカウンセリング協会(JOCA)理事長。ピースマインド総合研究所所長。

 

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