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特集記事

 

虐待体験よみがえる母 ~苦しみの周辺には明かりも~

株式会社ピースマインド提供

本音打ち明けて オンラインカウンセリングの現場から

カウンセラーをしていると、本当に世の中や人生の中に深刻な出来事が起こり得るのだと感じます。メールカウンセリングでも、災害や事故、トラブルや病気など、人が望むべくもない苦しみが寄せられます。

二十年前の出来事に、再び苦しめられている二十六歳の女性からのメールです。

「あのときと同じ年齢になった子どもがいます。わたしは小さいころ家族から虐待を受けていました。最近になってあのつらいときの感覚が突然、パッとよみがえってくるときがあります。信じてもらえないかも知れませんが、ほんとに同じ感覚なのです。もうそうなると何も出来ないし、訳が分からなくなってしまいます。何もかも終わりにしたい」

カウンセラーの手元に届くメールには、とても一気には最後まで読み進められないつらい事柄がつづられていることがあります。それは映画やドラマなどで受ける衝撃をはるかに超えることもしばしばです。

例えば友人からの相談なら、深刻な話でも「もう二十年も過ぎたのだから大丈夫よ」とか、「今は幸せなんだから、気分を切り替えて生きようよ」と明るい方に水を向ける応援の方法もあるかと思います。
しかし、カウンセラーはどんな深刻な話でも、逃げずに相談者の気持ちを受け止める努力をしていきます。ときにカウンセラーも、相談の背景を知れば知るほど不安や絶望感が湧(わ)き上がり、すぐに明るさの方に話題を向けたくなるときがあります。そんなときでもカウンセラーは、自らの不安を脇に置き相談者の悩みに向き合い返事をつづります。
それと同時に、相談者がまったく明るさを拾えないような返事をお送りすることもできません。実はどんな相談でも、苦しみの周辺には明かりがともっているものです。

先の女性からの相談では、子どもを育てたエネルギーが輝いているはずです。メールカウンセラーは返信の最後に、そっと子育ての話題に触れます。その機微にメールカウンセラーの力量が現れます。

事例は、普段の相談活動をアレンジしたものです。

執筆者プロフィール
渋谷 英雄(しぶたに ひでお)
臨床心理士。日本オンラインカウンセリング協会(JOCA)理事長。ピースマインド総合研究所所長。

 

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